Story 1
患者さん
宮崎 開久(みやざき ひらく)さん
高校生のときに血友病と診断。現在は大学のラグビー部に所属し、日々練習に励む大学2年生。高校生のときの担当医は愛媛大学医学部附属病院 山之内純先生。
血友病だからといって
ラグビーは
絶対に
やめたくなかった
宮崎さん 5歳のとき親にすすめられてラグビーを始めました。続けていくうちに仲間が増えたり、技術を磨くことができたりしてどんどん楽しくなっていきました。高校はラグビー推薦で親元を離れて寮生活、大学もラグビー推薦で入学しました。現在はひとり暮らしをしながら、練習に打ち込む毎日を送っています。
血友病B中等症と診断されたのは高校2年生のときでした。インフルエンザ罹患中に立ちくらみがして、台所のシンクに顔をぶつけてしまったことがありました。なかなか止血できなかったため検査をして、はじめて血友病と診断されました。それまでは、比較的あざができやすいことはありましたが、目立った症状はなく、自分が血友病だなんて思っていませんでしたし、病気自体も知りませんでした。
ラグビーは激しいコンタクトスポーツです。特に足首に負担がかかったり、タックルで相手の肩がぶつかったりすることも多いです。血友病による出血のリスクも十分説明を受け、理解できていました。それでもラグビーを続けることに迷いはありませんでした。絶対にやめたくなかったです。高校生時代の担当医だった愛媛大学医学部附属病院の山之内先生に相談したとき、「定期補充療法をしっかり続ければラグビーはできるでしょう*)」と言っていただけたことは大きかったですね。その言葉のお陰で現在でもラグビーを思い切り楽しめています。診断されたときは両親も心配だったと思いますが、僕が続けたいなら、ということで背中を押してもらえました。
治療の効果や出血のリスク、スポーツに参加できるかどうかは、患者さんごとに異なります。スポーツへの参加や治療内容については、必ず主治医にご相談ください。
血友病B中等症と診断されたのは高校2年生のときでした。インフルエンザ罹患中に立ちくらみがして、台所のシンクに顔をぶつけてしまったことがありました。なかなか止血できなかったため検査をして、はじめて血友病と診断されました。それまでは、比較的あざができやすいことはありましたが、目立った症状はなく、自分が血友病だなんて思っていませんでしたし、病気自体も知りませんでした。
ラグビーは激しいコンタクトスポーツです。特に足首に負担がかかったり、タックルで相手の肩がぶつかったりすることも多いです。血友病による出血のリスクも十分説明を受け、理解できていました。それでもラグビーを続けることに迷いはありませんでした。絶対にやめたくなかったです。高校生時代の担当医だった愛媛大学医学部附属病院の山之内先生に相談したとき、「定期補充療法をしっかり続ければラグビーはできるでしょう*)」と言っていただけたことは大きかったですね。その言葉のお陰で現在でもラグビーを思い切り楽しめています。診断されたときは両親も心配だったと思いますが、僕が続けたいなら、ということで背中を押してもらえました。
治療の効果や出血のリスク、スポーツに参加できるかどうかは、患者さんごとに異なります。スポーツへの参加や治療内容については、必ず主治医にご相談ください。
“普通”でいたい。
“思い切り”ラグビーがしたい。
だからこそ万全な対策を
宮崎さん 週末にラグビーの試合があることが多いため、毎週金曜日に定期補充療法の注射を打って血液凝固因子の活性値を上げてから試合に挑んでいます。普段の練習でも頭を保護するヘッドキャップやマウスピースをつけて臨み、大怪我をしないように十分に気をつけています。2週間程度の遠征に出ることもあるのですが、遠征時にはきちんと保冷バッグに定期補充療法用の注射を入れて持参しています。荷物になって邪魔だと思うこともあるけれど、遠征時にも忘れずに治療薬を持参するようにしています。
監督やチームメイトにも血友病のことを伝えてあり、周囲からの理解も得られています。でも僕自身は周りに気を遣われたくはないなと思っています。「怪我したらかわいそう」とか「今日あいつに怪我させちゃった」とは思われたくないです。やっぱり普通に接してほしいし、普通に一緒にラグビーをしたいと思っています。
大学では上下関係もありますが、チームメイトには恵まれて毎日が充実していて楽しいです。日常生活ではたとえば自転車を飛ばし過ぎないようにするなど、出血やけがにつながる可能性のある行動は避けるように気を付けています。
監督やチームメイトにも血友病のことを伝えてあり、周囲からの理解も得られています。でも僕自身は周りに気を遣われたくはないなと思っています。「怪我したらかわいそう」とか「今日あいつに怪我させちゃった」とは思われたくないです。やっぱり普通に接してほしいし、普通に一緒にラグビーをしたいと思っています。
大学では上下関係もありますが、チームメイトには恵まれて毎日が充実していて楽しいです。日常生活ではたとえば自転車を飛ばし過ぎないようにするなど、出血やけがにつながる可能性のある行動は避けるように気を付けています。
治療が、”続けたい“を
支えてくれる
宮崎さん 病院では、外来受診のたびに血液凝固因子の活性値、トラフ値などについて、繰り返し教えていただきました。自分自身で大体の活性値の動きは把握しており、とくに試合前には活性値が十分に保たれるように注意しています。実は注射が苦手で、最初は注射針がうまく血管に入らなくて何回も刺し直したこともありました。注射器も冷蔵庫のスペースを確保するのがめんどうだったり、治療が嫌になったりすることもあります。でも、山之内先生から「ラグビーを続けるなら少し多めに必ず週1回は注射を打つこと。怪我したら絶対にすぐ注射するように。*)」と言われているので、定期補充療法の注射は欠かさずに続けています。私の場合は、この治療があるから安心してラグビーを続けていられるとも言えますね*)。私は、定期補充療法を今後も続けていくことになると思っています。
山之内先生は僕のラグビーの試合を観てくれていたりして、気にかけていただけているのも嬉しいです。臨床心理士の中尾先生には診察時はずっと付き添って、コミュニケーションをとっていただき、また、看護師さんには注射の練習などでとてもお世話になりました。現在は関西医科大学附属病院で小児科の松野先生の診察を受けています。診察では怪我・出血の有無や注射剤の補充、気になっていることなどを相談していますが、これからは成人としての血友病治療に移行して、レントゲンなどで関節出血のチェックなどをしていくとうかがっています。
本記載は当該患者さんに対する主治医の個別の指示に基づくものです。治療内容、投与量、投与頻度、出血時の対応は患者さんごとに異なりますので、必ず主治医の指示に従ってください。
山之内先生は僕のラグビーの試合を観てくれていたりして、気にかけていただけているのも嬉しいです。臨床心理士の中尾先生には診察時はずっと付き添って、コミュニケーションをとっていただき、また、看護師さんには注射の練習などでとてもお世話になりました。現在は関西医科大学附属病院で小児科の松野先生の診察を受けています。診察では怪我・出血の有無や注射剤の補充、気になっていることなどを相談していますが、これからは成人としての血友病治療に移行して、レントゲンなどで関節出血のチェックなどをしていくとうかがっています。
本記載は当該患者さんに対する主治医の個別の指示に基づくものです。治療内容、投与量、投与頻度、出血時の対応は患者さんごとに異なりますので、必ず主治医の指示に従ってください。
これから何かに挑戦される方へ
宮崎さん 血友病と診断されてもラグビーをやめることは考えませんでしたが、それでも山之内先生に「ラグビーできるよ」と言われたことは大きな励みになりましたし、本当に嬉しかったです。病気をもちながら、何かに挑戦するときは、最初はみんな怖いと思います。でも徐々に自分のやれることを探していって、見つけられたら、きっと楽しくなるはずです。血友病患者でもラグビーのようなスポーツができるということを皆さんにも知っていただけたら嬉しいです*)。
スポーツへの参加可否や出血リスクは、病型、重症度、出血歴、関節の状態、治療状況、競技内容等によって患者さんごとに異なります。スポーツへの参加や治療内容については、必ず主治医にご相談ください。
スポーツへの参加可否や出血リスクは、病型、重症度、出血歴、関節の状態、治療状況、競技内容等によって患者さんごとに異なります。スポーツへの参加や治療内容については、必ず主治医にご相談ください。
宮崎さんのお母さんのお話
お母さん 息子には何かスポーツをしてもらいたくて、私がラグビー教室を見つけて連れて行きました。ラグビーを好きになってくれて、頑張って努力して、ラグビー推薦で高校に入学しました。ですから、高校2年目の5月に血友病と診断されたときは、とてもショックでしたし、ラグビーができなくなったら高校を辞めなくてはならないかもしれないなど、親としてとても悩みました。でも、息子が「ラグビーはやめないから」ときっぱりと言うので、だったら山之内先生に相談してみよう、と。先生からいただいた前向きな言葉は、親の私たちにもとても有難かったです。患者会で定期補充療法をしながらボクシングをされている若い患者さんに出会ったことも安心につながりました。
息子からは「心配し過ぎないように」と逆に諭されることもありますが、離れて暮らしていますし、怪我はいつも心配しています。しかし、息子の友人をはじめとした周囲の方々に病気のことを知っていただけているというのは心強いです。なかにはお友達に伝えることに躊躇される血友病の患者さんもいらっしゃるようですが、私たちの場合は、一緒に遊んだり、運動をしたりする身近な仲間に理解してもらうことは、リスク予防の面からも大事なことでした。
息子には、注射を忘れずに、少しでも痛いところがあればすぐに先生に伝えるなど、怪我に気を付けて、これからも夢を追いかけてほしいと思っています。
息子からは「心配し過ぎないように」と逆に諭されることもありますが、離れて暮らしていますし、怪我はいつも心配しています。しかし、息子の友人をはじめとした周囲の方々に病気のことを知っていただけているというのは心強いです。なかにはお友達に伝えることに躊躇される血友病の患者さんもいらっしゃるようですが、私たちの場合は、一緒に遊んだり、運動をしたりする身近な仲間に理解してもらうことは、リスク予防の面からも大事なことでした。
息子には、注射を忘れずに、少しでも痛いところがあればすぐに先生に伝えるなど、怪我に気を付けて、これからも夢を追いかけてほしいと思っています。
主治医
山之内 純 先生
愛媛大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部 特任教授 *肩書は取材当時
山之内純先生からの
メッセージ
宮崎さんは怪我の出血によって当院に紹介されました。まずは止血治療を行いましたが、ラグビーを続けたいという気持ちを強くお持ちだったため、止血後も定期的に注射を続けることになりました。ラグビーはコンタクトスポーツですが、ポジションによっては相手とぶつかることを避けることができます。宮崎さんのラグビーでのポジションを聞いたうえで、定期補充療法を継続すればラグビーを続けられると判断しました注)。怪我を避けるために素早くパスをまわす、ぶつからないように速く走ることが大切など、私自身ラグビーをよく観戦していたため、アドバイスをできたということもあると思います。学校の先生方や寮父さんにも病院でお話しする機会を設け、怪我が起こった場合の対処をお願いしました。
凝固因子活性値を保つためには、患者さんと医師とで決めた日にきちんと注射を打つことが大切です。当院の患者さんのなかにはサッカーや野球をしている方もいますが、定期補充療法によって安心してスポーツに臨んでおられます。血友病の治療薬は、歴史的に多くの先輩患者さんの尽力によって進歩してきました。患者さんにはしっかりと治療を続けながら、ご自身の夢を追いかけていってほしいと思います。
血友病にはAとBがあり、また軽症、中等症、重症によって出血の頻度も異なります。症状は患者さんによって異なるため、スポーツなど挑戦したいことができたときは主治医の先生にご相談ください。
凝固因子活性値を保つためには、患者さんと医師とで決めた日にきちんと注射を打つことが大切です。当院の患者さんのなかにはサッカーや野球をしている方もいますが、定期補充療法によって安心してスポーツに臨んでおられます。血友病の治療薬は、歴史的に多くの先輩患者さんの尽力によって進歩してきました。患者さんにはしっかりと治療を続けながら、ご自身の夢を追いかけていってほしいと思います。
血友病にはAとBがあり、また軽症、中等症、重症によって出血の頻度も異なります。症状は患者さんによって異なるため、スポーツなど挑戦したいことができたときは主治医の先生にご相談ください。
中尾 綾 先生
愛媛大学大学院医学系研究科 感染制御学 臨床心理士 *肩書は取材当時
中尾 綾先生からの
メッセージ
高校生ではじめて血友病Bと診断されたときは宮崎さんもご家族も大変驚かれたと思いますが、治療法があるということは夢を追いかけるうえで大きなことだったと思います。宮崎さんはラグビーを続けていくために、医師との約束事を守っていくとおっしゃったので、私は外来に付き添われるお母様のこともサポートしながら、その約束が守れるような環境を提供することに努めました。
ご両親からすると、お子さんの心配は尽きないと思います。我々はその心配を解消するということではなくて、外来時に世間話などをしながら、日々の疑問を口に出していただけるような関係性をつくることが大切だと考えています。細かなご質問にお答えし、必要であれば看護師やソーシャルワーカー、薬剤師につなげます。
病気があっても好きなことを続けていくという選択がある一方で、病気のために諦めるという選択をすることもあると思います。大切なことは患者さんがご自身で選択することです。どのような選択をしたとしても、“自分で選んだ”ということに意義があり、そこからまた自分で立ち上がっていく力につながります。患者さんがご自身で決断できるように、全力でサポートすることが医療スタッフの役割だと考えています。
ご両親からすると、お子さんの心配は尽きないと思います。我々はその心配を解消するということではなくて、外来時に世間話などをしながら、日々の疑問を口に出していただけるような関係性をつくることが大切だと考えています。細かなご質問にお答えし、必要であれば看護師やソーシャルワーカー、薬剤師につなげます。
病気があっても好きなことを続けていくという選択がある一方で、病気のために諦めるという選択をすることもあると思います。大切なことは患者さんがご自身で選択することです。どのような選択をしたとしても、“自分で選んだ”ということに意義があり、そこからまた自分で立ち上がっていく力につながります。患者さんがご自身で決断できるように、全力でサポートすることが医療スタッフの役割だと考えています。